「共に喜び、共に泣く」
(ローマ12:9-21)

カテゴリー 礼拝メッセージ要約(説教者による)

 パウロは、救いの恵みに与った者たちのあるべき姿として、「喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣きなさい」と勧めました。「共に」ということは、一般でも言われていることです。しかし、聖書が語っていることは、福音の恵みによって生かされているあなたがたは、このように生きることができる、ということです。
 まず、「喜ぶ者と共に喜ぶ」ことが勧められていますが、私たちは他の人が喜んでいるとき、一緒になって喜ぶことができない弱さを抱えています。その人をねたましく思ってしまうのです。
 そのような私たちにとって、「泣く者と共に泣く」ことのほうがやさしいと思うかもしれません。けれどもそれは、見せかけの同情となり、あるいは心理的に上に立って、苦しんでいる人をさらに苦しめてしまうことがあります。「泣く者と共に泣く」とは、相手が泣いているのを止めることなく、泣くのをそのまま受け入れることです。励まそうとすることにより、「いつまでも泣いていないで……」というメッセージを送ってしまうことがあり、「共に泣く」ということに失敗してしまいます。
 そのような私たちがこのパウロの勧めを生きることができるのは、主イエス・キリストが、私たちと共に喜び、泣いてくださったお方だからです。主イエスは、私たち罪人たちのところにまで降りてきて、十字架の死に至るまで、私たちに寄り添ってくださいました。主の十字架は、「どこまでもあなたがたと共にいる」というメッセージです。救い主のこの寄り添いを受けた者たちは、小さなキリストとして、他者のもとへ遣わされていくのです。
(仙台南光沢教会牧師 佐藤信人)