「偶像礼拝としての貪欲」
(出エジプト20:17)

カテゴリー 礼拝メッセージ要約(説教者による)

 第十の戒めは、「あなたは隣人の家をむさぼってはならない」と命じています。これは、他人のものを欲しがり、何としてでも手に入れようとする貪欲の罪を禁じたものです。 私たちの欲望というものは、一度追い求め始めると、限界というものがありません。手に入れたもので満足できず、もっと多くのもの、もっといいものが欲しくなります。それは、モノがなくて生活できないような貧困の問題ではなく、満たされていない心の問題です。満たされない心の空しさを、人はモノによって埋め合わせしようとします。お金を貪欲に求めた取税人ザアカイは、まさにそのような人でした。
 そのような物質によって心が支配されてしまっている姿は、イエス・キリストの父なる神ではなく、お金や財産、物質を神としてしまっている人間の姿です。「貪欲は偶像礼拝にほかならない」(コロサイ3:5)とパウロが言ったように、盗みやむさぼりの罪は、神ならぬものを神として生きる偶像礼拝の罪です。この最後の第十戒にきて、もう一度最初の第一戒に戻ります。「あなたはわたしのほかに、なにものをも神としてはならない」。物質を神のように慕い求めるのではなく、神を神として生きるように命じられています。
 それができるのは、私たちの神は、私たちに必要な全てのものを与えてくださる神だからです。そしてすでに、私たちのために最も価値のある御子キリストを与えてくださいました。キリストの絶大な価値が分かるとき、私たちはもはや、モノによって心を満たす必要はなくなります。「あなたこそ私の主」と告白して生きる人生へと変えられるのです。
(仙台南光沢教会牧師 佐藤信人)