2014年11月18日(火)

「細く長く」

 今日、久しぶりにOさんのところへ行き、お母さまとお話をしてきました。私が伺うのは今年2月以来とのこと。5月くらいに一度行ったものと思っておりましたが、そうではなかったようで、「牧師さんから、『細く長く』と言われていたけど、震災から3年が過ぎ、その細い糸が切れてしまったのかな、と思ってました」と言われました。私もずっと気になっていながら、教団の奉仕に忙しく、余裕がありませんでした。今日を逃すと、今年はもう行ける日がないかもしれないと思い、9ヶ月ぶりに行ってきました。事情を説明し、伺うことはできなくても、ずっと気になっていたこと、「細く長く」の約束は忘れていないことをお話しました。
 Oさん宅では、津波被害に遭った母屋がついに取り壊されていました。新しく家を建てるのは、来年以降になるとのこと。まだまだ仮住まいの暮らしが続きます。畑では、ハウスが奥のほうに新しく3棟建てられていました。少しずつ、風景が変わってきています。


 しばらくお話をお聞きした後、車で閖上に行きました。日和山へ行き、上から眺めました。近くの貞山堀では護岸工事がなされていました。これまでは見られない光景でした。また、この日和山の道路を挟んで隣りに、東日本大震災慰霊碑が建てられ、この閖上地区で亡くなった964名の方々の名前が碑文に刻まれていました。これも初めて見るものでした。そしてその隣の敷地には、震災遺構として保存が検討されている旧笹かま工場が変わらずに建っていました。何だか、「ここに立ち続ける!」という強い意志さえ感じられました。


 閖上からアパートまでお送りする前に、よく行く農業園芸センターに立ち寄りました。仙台市から、どこかの事業体に運営事業が移管されるはずなのですが、一度は決まったはずの事業体が新聞沙汰となり、なかなか決まらないでいます。閉まっているのかと思いましたが、門は開いており、中を自由に散歩することができました。ただ、園芸センターのシンボルだった大きな温室はちょうど取り壊されていました。それぞれの場所で、それぞれのペースで復興が続いているようです。かつての建物などが無くなっていくことは寂しくもありますが、復興の証しでもあり、うれしく感じました。こちらも、細く長く見守り続けたいと思います。


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