イサクの息子ヤコブは、双子の兄エサウと父イサクをだまし、長子の祝福を奪い取りました。怒りに燃える兄エサウの手から逃れるため、ヤコブは父の家を逃げ出し、一人寂しく荒野を旅していました。このようなとき、人は自分自身と向き合い、また神と向き合うものですが、ヤコブの信仰は両親に依存した借り物でしかなく、必死になって神に祈ることさえできませんでした。
親からも神からも遠く離れてような状況の中で、ヤコブは荒野で石を枕にして寝たとき、一つの不思議な夢を見ました。天から地へと梯子が伸びていて、その上を天使が上り下りしていました。そのとき、ヤコブに神が語りかけられました。それは、アブラハムの神、イサクの神がヤコブの神となってくださる、という語りかけでした。アブラハムやイサクに与えられたのと同じ祝福の約束が語られるとともに、主がヤコブと共におられ、どこへ行っても守ってくださる、と告げられました。
ヤコブは夢から覚めると、「主がこの所におられるのに、わたしは知らなかった」と驚きの声を上げました。親元から離れたこんな所に、そして兄と父を騙し、罪が露わになった醜いこんな私と共に主がおられるとは!という驚きでした。
ヤコブに現れてくださった神は、天と地とを結ぶ梯子として、御子イエスを私たちのところに遣わしてくださいました。十字架によって、断絶していた神と私たちの間に道が造られたのです。そして主は、こんな罪人の私たちを見捨てることなく、どんなときにも共にいてくださいます。主を生活の場にお迎えして、歩みを続けようではありませんか。
(仙台南光沢教会牧師 佐藤信人)