「主にあって選ばれた者たち」
(ローマ16:7-16)

カテゴリー 礼拝メッセージ要約(説教者による)

 ローマ教会の人々に挨拶を送っている中で、「主にあって選ばれたルポスと、彼らの母とに、よろしく」とパウロは述べます。この7節から16節に出てくる22の人や家の名前の中で、新約聖書の他の箇所にも登場するのはこのルポスだけです。
 ルポスと聞いても私たちはあまりピンときませんが、「クレネ人シモン」といえば、主イエスが十字架につけられる場面で登場する人として思い出すことでしょう。主イエスが十字架を負ってゴルゴタの丘へと歩かれたとき、倒れ込んだ主イエスの代わりに、ローマの兵士は通りがかったシモンを呼び寄せて十字架を負わせました。彼はアフリカ北部のクレネから巡礼のためのエルサレムを訪れていたようです。たまたま通りかかったとき、兵士に呼び止められ、不名誉な十字架を背負わされることになったのです。
 そのシモンを紹介するにあたり、マルコ福音書は「アレキサンデルとルポスとの父シモン」と記しました。本人の名前だけでなく、その息子たちの名前をも書き残したのです。それは、マルコが福音書を書いたとき、シモン一家の名前は教会の中でよく知られていたからです。シモンは十字架を負わされた後、主イエスを信じるようになり、家族をあげてクリスチャンとなっていたのです。自分が主イエスの代わりに十字架を負ったのではなく、主イエスが自分たちの代わりに十字架を負ってくださったという恵みを知ったからです。
 その息子ルポスを紹介するにあたり、パウロは「主にあって選ばれたルポス」と記しました。たまたまではなく、神が恵みによってシモン一家を選んでくださっていたのです。私たちが救われたのも偶然ではなく、主にあって選ばれたからなのです。
(仙台南光沢教会牧師 佐藤信人)