「家の教会によろしく」
(ローマ16:1-6)

カテゴリー 礼拝メッセージ要約(説教者による)

 パウロはローマ教会に宛てた手紙の最後に、自分が知っている人たちの名前を挙げながら、「誰それによろしく」と挨拶を送っています。この「よろしく」と訳されている言葉は「抱く」という意味の言葉です。互いに肩を抱き寄せ合って挨拶する行為を表しています。同じ言葉は、他の箇所では「平安を祈る」と訳されています。「よろしく」という言葉の中に、相手の平安を祈る心が込められています。
 その挨拶の中で、パウロは「彼らの家の教会にも、よろしく」と述べています。コリントでパウロと一緒に伝道したプリスカとアクラは、今は再びローマに戻っていました。この夫妻は、どこへ行っても自宅を開放し、そこを礼拝と宣教の場としていました。パウロは彼らの家を「家の教会」と呼んだのです。
 教会といっても、建物のことではありません。ペンテコステは教会の誕生日ですが、それは教会という建物が出来た日ではなく、「イエスは主」と告白する群れが出来た日のことです。当時のキリスト教会はまだ力がなく、現在の教会堂のような特別な建物を持つことができなかったため、信徒の家に集まり、そこを礼拝の場としていました。パウロはそれを「家の教会」と呼んだのです。
 今年のペンテコステ礼拝は、新型コロナウイルスの影響を受けて、教会堂に集まることができず、それぞれの自宅で礼拝をささげています。教会の原点に立ち戻らされたかのように、各地に家の教会があります。「イエスは主」と告白する者たちが心を合わせて集まっている、そこに主の教会があります。皆さんの家の教会に、主の祝福がありますように。
(仙台南光沢教会牧師 佐藤信人)