「偽りのない愛に生きる」
(ローマ12:9-21)

カテゴリー 礼拝メッセージ要約(説教者による)

 キリスト者の具体的な生活指針を語るにあたり、パウロは「愛には偽りがあってはならない」と語ります。私たちの愛には、偽りが入り込んでしまうからです。「偽り」と訳されているギリシャ語の言葉は、「仮面をかぶって芝居をする役者」という意味です。私たちの愛が、まるで仮面を付けて芝居をするかのようになってしまうというのです。たとえばボランティア活動が、相手のためにやっているように見えながら、自分のため、自分の自己実現のためであったりすることがあります。
 そのように、本物の愛と偽りの愛の決定的な違いは、中心がどこにあるか、という点です。関心の中心を相手に置き、相手のために手を差し伸べる、それが本物の愛です。ところが、偽りの愛は、相手のためのように見えながら、実は自分のため、という心が根底にあります。
 真実に互いに愛し合うために、「進んで互いに尊敬し合いなさい」と勧めます。人間の価値観で他人をはかるのではなく、神の目をもって人を見るとき、その人の本当の価値が分かります。それは、御子キリストが命をかけるほどの大きな価値です。
 そのような真実な愛を阻むのが高ぶりですが、そうならないように、「低い者たちと交わるがよい」と言います。そして、御子キリストこそ、高い所におられたのに、低い私たちのところへて降って来られ、私たち罪人と一つとなってくださいました。私たちはそのキリストの真実な愛を受け、それによって救いにあずかりました。キリストの十字架の真実を受けた者たちは、自己中心から解放され、他者のため、真実な愛に生きることを始めるのです。
(仙台南光沢教会牧師 佐藤信人)