「この地に腰を据えて」
(使徒行伝18:1-11)

カテゴリー 礼拝メッセージ要約(説教者による)

 使徒パウロは第二次伝道旅行中、ギリシャのアテネからコリントの町へとやって来たとき、挫折と失望を覚えていました。アテネでの伝道が思うように行かなかったからです。
 そのような中、コリントでプリスキラとアクラという熱心なクリスチャン夫婦に出会い、大きな励ましを受けて伝道の働きを続けました。さらに、シラスとテモテがやってきて、テサロニケ教会の人々の様子を伝えてくれました。行き詰まりを覚えていたパウロにとり、その吉報も大きな励ましとなりました。
 そんなある夜、パウロは幻の中で主の語りかけを聞きました。「恐れるな。語りつづけよ、黙っているな。あなたには、わたしがついている。だれもあなたを襲って、危害を加えるようなことはない。この町には、わたしの民が大ぜいいる」。主がこのように語られるというのは、パウロの中に大きな恐れがあり、孤独を感じ、迫害者から危害を加えられる心配があったからでしょう。そのようなパウロに、このコリントの町に神を信じる者たちがたくさんいる、と言われ、「わたしがあなたと共にいる」と励ましを与えられました。
 この神の語りかけを受けたパウロは、「ここに腰をすえて、神の言を彼らの間に教えつづけた」というのです。宣教のわざに行き詰まりと恐れを覚える伝道者が、神の言葉の励ましがあるからこそ、その困難な地でなお腰を据えて、福音を語り続けることができたのです。
 私たちも自分が遣わされている地で福音を語ろうとするとき、行き詰まりや恐れを覚えることでしょう。それでもなお、主が「わたしがあなたと共にいる。救われる民が大勢いる」と言われるからこそ、腰を据えて宣教に励むことができるのです。
(仙台南光沢教会牧師 佐藤信人)