「思い起こしによる力」
(ヘブル13:7-8)

カテゴリー 礼拝メッセージ要約(説教者による)

 著者がこの手紙を書き送った相手は、ユダヤ教から改宗してクリスチャンになったユダヤ人でした。当時、ローマ帝国によるキリスト教迫害が次第に厳しくなり、信仰を捨ててユダヤ教に戻ろうかと考える人たちがいました。その彼らの信仰を励ますために、この手紙を書いています。
 その最後の章にあたり、「神の言をあなたがたに語った指導者たちのことを、いつも思い起こしなさい」と語りました。信仰の模範として、最も身近な存在を挙げ、「彼らの生活の最後を見て、その信仰にならいなさい」と勧めました。自分たちに神の言葉を語ってくれた指導者たちが、生涯の終わりをどのように信仰に生きたのか、そのことをよく観察するようにと言うのです。人生の晩年においては、見せかけの信仰など通用しません。だからこそ、本物のメッセージが聞こえてきます。その信仰に倣うようにと言うのです。
 そのように指導者の最後の姿を見つめるのは、その指導者たちを誉め讃えるためではありません。その信仰姿勢を見つめているうちに、その指導者が指し示しているキリスト、その指導者を生かしておられるキリストが見えてきます。見つめる者の視線は、指導者からキリストへと移ります。だからこそ著者は、「イエス・キリストは、きのうも、きょうも、いつまでも変わることがない」と述べます。指導者をあのように生かしたキリストは、今も変わることなく私たちの救い主でいてくださり、これからも変わることなく私たちの神でいてくださいます。  だからこそ、私たちはその同じキリストに支えられて、信仰生涯を真っ直ぐに歩むことができるのです。
(仙台南光沢教会牧師 佐藤信人)