「殺し合わない社会を求めて」
(出エジプト20:13)

カテゴリー 礼拝メッセージ要約(説教者による)

 「あなたは殺してはならない」という第六の戒めは、旧約聖書においては限定的な禁止命令とされ、死刑や戦争は容認されていました。実際、神は殺人者を死刑に処するように命じており、戦争では他の民族を全滅させるように命じておられます。
 キリスト教会がこのような旧約聖書を読む場合、常に新約の光のもとで読むことが必要です。すなわち、主イエスをとおして旧約を理解するのです。主イエスは旧約の律法を引用しつつ、「しかし、わたしはあなたがたに言う」と述べて、律法の真意を述べられました。この第六戒については、実際に行動に移さなくても、言葉をもって心の中で人を殺すなら、それも罪であると言われました。主イエスにおいて、この戒めは全面的な殺人の禁止として語られたのです。それは、どんな人も神のかたちに似せて造られた尊い存在であり、神はどんな人も滅びてしまうことを望んでおられないからです。
 これに対して、私たちは心の中で密かなる殺人を繰り返しているのではないでしょうか。自分には合わない人との関係を断ち切ってしまい、心の中から抹殺してしまうのです。
 そのような私たちに、「あなたは殺してはならない」と語られます。それは、滅ぼされても仕方のない私たちが、主イエスの十字架によって生かされたからです。その私たちに、殺し合うのではなく、互いに生かし合う社会を形づくっていくようにと勧められています。私たちは平和を造り出して生きるようにと召されているのです。
(仙台南光沢教会牧師 佐藤信人)