2012年 5月 牧会日記

植木鉢  5月25日(金)


 午後、すぐ近くにある仙台キリスト教育児院の評議員会に出席してきました。育児院から最も近くにある教会であり、教会員の中に関係者がいるということもあって、10年近く前から評議員を引き受けております。年に3回ほど評議員会があるのですが、3月は毎年、私たちの教団の総会や年会と日程が重なって出席することができません。そのため、久しぶりの出席となりました。
 子どもたちが教会学校に来ていたり、N姉がシオンの園にお世話になっていることもあって、いつも関心をもってお話を伺っています。今日配付された資料の中に、課題のある子どもたちにどう接するかということについて、興味深いコメントがありました。それによると、自分の感情を心の中に閉じ込めているような子に対しては、普通の処遇だけでは改善できないので、大人のほうから「語って・語り続ける」必要がある、ということでした。
 子どもに限らず、様々な心のケアの領域において、「聴いてあげること」の大切さが繰り返し言われます。恐らくそれが基本姿勢なのでしょうけれども、相手によっては、こちらがどんなに聴いてあげようと思っても、自分の思いを閉じ込めいて自分からは表現できない、そういう子どもや大人がいるものです。そのような場合には、語り出すのをただ待っているだけでなく、こちら側が語りかけ、語り続けることによって、未発達のコミュニケーション能力が培われていく、そういうものだと、会議後にお尋ねした施設長の方が説明して下さいました。
 このことを伺って、「ああ、そうか、なるほど」と納得したことでした。牧会の現場においても、傾聴の大切さが語られ、語ることよりも聴くことを大事にするように心がけているつもりなのですが、ときどき遭遇するのは、こちらがその思いを聴こうとしても、相手の方が語る言葉を持っていない、というような場面です。すなわち、ご自分でも自分のことが分からない、あるいは表現できない、何を言っていいか分からない、ということが決して少なくありません。特に、信仰のこととなりますと、自分の信仰状態が分からない、あるいは表現する言葉を持っていない、という場面に出くわせます。その原因の一つは、まだ本人が福音について、信仰について十分に聞いてない、といったところにあるのではないか、そのような思いに至りました。十分に語りかけられていくときに、その言葉に反応するようにして、語りたい思いが生まれ、言葉が生まれていく、そういうことがあるように思います。人それぞれの状況に合わせて、この人にはもっともっと福音の言葉を語ってあげなければいけない、そうでなければ言葉は生まれてこない。そのような適切な見極めができる牧者でありたいと願わされたことでした。




植木鉢  5月20日(日)


 久しぶりに腹を立てています。私たちの教会のことではありません。福島教会のことに関してです。ある外国の団体一行が福島教会のためにお祈りをしたいということで、今日の礼拝に9名の方々がおいでになる予定でした。そのために、教会では食事を準備し、巻き寿司を注文し、田中先生は英語による解説付きの週報まで用意しておられました。
 ところが、昨日の夕方になって「来ることができない」との連絡がありました。訪問するはずの一行は、「まだアメリカのシアトルにいる」とのこと。飛行機のフライトの都合なのか、正確な理由はよく分からないのですが、もうとっくに日本に到着している頃になっての連絡であるため、週報もできあがり、食事の準備や注文もキャンセルができませんでした。田中先生も、土曜日の夕方にあたふたと連絡をして、お疲れの中で今日の礼拝を迎えたとのことでした。
 東北の方々は皆さん本当に我慢強く、あまり声を大きくして文句を言ったりはされません。しかし、私は東北人ではありません。ですから、代わりに言います。


どうぞ、被災地を苦しめるような応援なんてもうやめて下さい!


実は、今回だけでなく、福島教会に対して何かをしたい!という申し出は、昨年の震災以来、ずっと続いています。その思いは尊いのかもしれませんが、遠慮なく言わせていただくならば、応援してもらったほうがかえって疲れを覚える、ということが何と多いことでしょうか。聖書学院を出て2年目の田中先生がせっかくの申し出を無下に断ることもできず、教会の皆さんもわざわざ来て下さる方々を何とかもてなそうと考えるようです。
 しかし、何かおかしいとは思いませんか? 応援するどころか、助けるどころか、かえって被災地の教会に大きな負担を強いているのです。本音を言えば、もういいから、温かく静かに見守っていて欲しい、というところです。そうでなくても、放射能汚染のことでストレスがたまり、今なお疲れを覚えることがあるのですから。
 以前にもココで書きましたが、ボランティアや被災地支援を行う場合、自分たちのためでなく、どこまでも相手のために、相手にとって本当に益となるようにと願いつつ、自分たちの行動を吟味するべきでしょう。どうも、「被災地を支援してきました!」と報告するために、結局は自分たちのためにやっているような支援や応援が少なくないのです。
 それゆえ、今後は、そのような支援や応援はお断りさせていただきます。福島教会の主任牧師は私となっていますので、田中先生が断れなくても、私が断ります。それが福島教会のためになるからです。ご理解をよろしくお願いします。

 長くなりましたが、最後に仙台教会のことを少しだけ。今日は午後、部会が行われました。女性会は近くにある仙台文学館へ行きました。17名の参加。天候がよく、外で食事をした後、館内に入り、写真にありますように「北斎漫画展」を鑑賞しました。
 私たち男性会は、いつもは女性会が使っているチャペルを広々と使って、10名で行いました。今日は、今年の重点課題である「牧会し合う私たち」のための学びとして、『教会生活の処方箋』にある「信徒による牧会」を読み、意見交換を行いました。とても良い学びのときとなりました。




植木鉢  5月17日(木) (写真はこちら


 3週前に続いて、若林区にあるOさんの畑のボランティアに参加しました。狭山教会の内藤先生の奥様をはじめ、関東からのホーリネスチーム5名とクラッシュ・ジャパンのスタッフ、そして私の7名による奉仕でした。Oさん宅に到着すると、今週火曜日に田植えがおわった田んぼが真っ先に目に飛び込んできました。仙台東部道路よりも海岸よりでは、あの付近ではOさんの田んぼだけが田植えをしたとのこと。秋の収穫が楽しみです。
 奉仕内容は前回と同じ畑の雑草と杉の葉を取り除く作業でした。前回よりも人数が少なかったため、1面の畑をするのが精一杯でした。途中、月曜日から一関ベースでボランティアをしておられた入間教会の佐藤先生一行5名が関東への帰り道に立ち寄られ、一緒に写真をとりました。最高齢の今回初めて参加された方は77才とのこと。佐藤先生をはじめすでに何度も来ておられる方々もおられ、「また6月に参ります」と言って帰られました。本当に頭が下がります。
 心配された天候ですが、前回よりも暑くなくてちょうどよい気温で、午後から空が暗くなり、遠くで雷も聞こえていましたが、私たちが作業を終えた3時までは何とかもちこたえてくれて、雨に濡れずにすみました。ただ、Oさんは、天気予報が午後は雷雨という予報だったので、昼食もとらずに農作業をしていたとのことでした。
 私たちが前回作業した畑はまだそのままで、再び雑草が生え始めていました。聞くと、塩分を抜くためにまだビニールをかぶせずに土を雨に打たせている状態だとのこと。津波による塩害などから畑を回復させながら、それと並行してすでに作物を植えている畑の収穫・管理などをするわけですから、本当に忙しいようです。
 黙々と雑草を抜きながら、次週の礼拝説教箇所にある聖句を改めて思い起こしておりました。
 
「神の国は、ある人が地に種をまくようなものである。夜昼、寝起きしている間に、種は芽を出して育って行くが、どうしてそうなるのか、その人は知らない。地はおのずから実を結ばせるもので、初めに芽、つぎに穂、つぎに穂の中に豊かな実ができる。実がいると、すぐにかまを入れる。刈入れ時がきたからである」。
(マルコ4:26−29)

「夜昼、寝起きしている間に、種は芽を出して」「地はおのずから実を結ばせるもので」、う〜む、寝るのを惜しむようにして働いておられるOさんのことを思いながら、一体これはどういうことだろうか、そうか、そういうことか、などと思いながらひたすら手を動かしていたことでした。お祈りを感謝いたします。




植木鉢  5月16日(水)


 今日は午後、二組の来客がありました。ひとつは、来月2日(土)に仙台で“希望のコンサート”を開かれるユーオディアの代表の柳瀬洋さんと2人のスタッフの方。市内の教会で無料のコンサートを開いて下さるとのことで前から案内がなされていましたが、入場整理券は一週間でなくなったため、急きょ、2日(土)の夜に追加公演をして下さることになったそうで、入場整理券を数枚いただきました。被災地支援として、いろんな方々のご協力で、仙台、福島で無料のコンサートが開かれるそうです。嬉しいですね。教会内でご希望の方はお申し出下さい。
 その後、この4月からKGK(キリスト者学生会)の東北地区主事として着任された木創さん。着任の挨拶においでになりました。木さんも牧師のお子さんだそうで、この3月に神学校を卒業されたばかりということもあって、話がはずみました。私たちの教会にも学生時代にKGKに関わっておられ、たくさんの恵みを受けられた方が何名かおられます。そのように、東北地区の学生たちが、学生時代に友と切磋琢磨しながら良い感化を受け、信仰が育まれていくようにと願わされたことでした。木さんのお働きの祝福をお祈りいたします。
 私は明日、3週間前に奉仕した若林区の畑のボランティアに参ります。今週予定されていた相馬におけるカフェが中止になったので、こちらに行くことになりました。明日は天気も心配なく、それどころかとても暑くなりそうです。お祈り感謝いたします。




植木鉢  5月6日(日)

 私は今日は福島教会での礼拝(聖餐式)奉仕でした。福島方面は東北自動車道の上りですので、Uターンラッシュを心配しましたが、午前中の早い時間帯とあって、普段よりは交通量が多かったものの渋滞などは全くなく、予定通りの時間に着くことができました。一年前は、被災地に向かう自衛隊や警察の車輌が隊列を組んで走っていたのを覚えております。今日は、午前中は天気が良かったこともあり、田植えの風景が見られ、新緑を楽しみながら行くことができました。いつも余裕をもって向かうため、教会のすぐ近くにある総合支所でひと休みします(写真)。昨年のこの時期はこの場所は被災者の避難所になっていて、駐車場には自衛隊や警察の車輌が止まっていましたが、今はそんなことがなかったかのように、静かな日曜日の朝という感じでした。
 今日の礼拝は、県外に避難しておられる方など久しぶりの方も出席され、20名の礼拝でした。礼拝後、久しぶりに来た小学1年生と幼稚園年長の兄弟の進学・進級のお祝いをしました。以前はこの二人の男の子、私が手を置いて祈っている途中、二人で目を開けておしゃべりしていたのが、今日は写真の通り、ちゃんとお祈りに心を合わせることができ、その成長を嬉しく思ったことでした。福島の子どもとして、健やかに育って欲しいと心から願わされました。
 午後からの総会を前に、昼食を一緒にいただいたのですが、写真の通り、ある方が近所で採れたわらびを持って来て下さいました。福島では、キノコやタケノコ、山菜などは放射能汚染で危ないと言われているのですが、その方は放射線測定器でちゃんと調べて下さって、「不検出」ということを確認した上で、調理して持ってきて下さいました。わらびなど当分食べられないと思っていましたが、調べた上で「不検出」ということでしたので、安心していただくことができました。とてもおいしかったです。仙台とは違い、福島ではそのような放射線測定器が近所にもあって、持ち込みで検査ができるとのことでした。
 昼食の後は教会総会でした。田中綏子先生をお迎えして2年目、皆で心を合わせて進んでおります。いろいろと疲れを覚えることがありますが、福島教会の方々はそれでも主を見上げつつ歩みを進めております。いつもお祈りとご心配を感謝いたします。また今後もどうぞよろしくお願いします。
 5時過ぎに無事仙台に戻ってきました。こちらでは、今日はY兄による説教奉仕、午後は半年に一度の大掃除。そしてその後、伝道委員会が行われました。留守の教会も守れたことを主に感謝しました。



植木鉢  5月2日(水)


 昨日お伝えしましたように、クラッシュ・ジャパンが震災以来ずっと関わっています仙台市若林区にあるOさんの畑のボランティアに行ってきました。雨が心配されたのですが、雨どころか日が射して暑いくらいで、気持ちよく作業ができました。私たちの教会からは、私たち夫婦とK兄姉ご夫妻、午後からはT姉もおいでになり、5名の参加でした(写真)。そのほかホーリネスチームとして山田先生と学院教会の5名(写真)、そして他教団の方が6名、総勢17名で畑の整備の奉仕をいたしました(写真)。午前10時から昼食約1時間の休憩をはさみ、午後3時半過ぎまで、雑草をぬき、杉の木の落ち葉を取り除く地味な作業ですが、多くの人数でしましたのではかどりました(写真)。
 帰る直前、Oさんがレタスを農協に出荷する作業をみんなで手伝いました(写真)。それを終えて、Oさんが私たちに感謝しながら説明して下さいました。近隣の農家仲間25軒のうち、現在レタスを出荷できているのは6軒だけだとのこと。また、Oさんは今年は田植えをしようとして準備しているのですが、このあたりの仙台東部道路よりも海側の地域で、今年田植えをするのはOさんのたんぼだけであるとのこと。「これもクラッシュのボランティアのお陰です」と大変感謝しておられました。それを伺い、私たちもとても嬉しく思いました。
 5名の参加でしたが、私たちの教会から初めて一つのチームとしてボランティアに参加できたことは、大きな喜びでした。いつも、山田先生や宮崎先生など、関東からおいでになる先生方や信徒の方々にお礼の挨拶をするだけでしたが、たった1日でも、一緒に奉仕ができたことは嬉しいことでした。また、私個人としましても、ずっと傾聴ボランティアで通っていたOさんの畑の作業のお手伝いができたことは、いつもとは違う喜びでした。このような作業は、なかなかひとりでは続かないものですが、心を同じくする仲間がいるということによって励まされ、本当に楽しく気持ちよく奉仕ができました。
 このときを与えて下さった主に感謝いたします。予定では明日も畑作業になっているのですが、仙台地方は明日は大雨になるとのこと。本当は、もう一日、多くのボランティアの方々がおられるときにOさんの畑作業をしていただきたいところなのですが、ちょと無理そうです。山田先生からは「佐藤先生が今晩徹夜祈祷会をすれば大丈夫かも…」などと言われたのですが、先ほど水曜日の祈祷会が終わり、疲れて今にも眠りに落ちそうです。ですから、明日のことは主にお任せして、おやすみなさい!


植木鉢  5月1日(火) (写真はこちら


 約2ヶ月半ぶりに傾聴ボランティアに行ってきました。おばあちゃまがずっと待っていて下さったということで、久しぶりにゆっくりお話しを伺いました。
 畑では、連休を利用して茨城や関西などからのボランティアの方が10名近く来ておられ、ビニールハウスを建てる土のゴミ(杉の木の枯葉など)拾いをしておられました。明日と明後日は、私もK兄姉とともに畑のボランティアに参加する予定です。
 帰りにクラッシュ・ジャパンの仙台ベースに寄ると、山田先生をはじめとするホーリネス・チーム(学院教会の方々)6名が到着しておられました。明日、明後日と同じ畑でボランティアをする予定です。奉仕においてお交わりができることも感謝です。天候がちょっと心配ですが、何とか守られて奉仕ができるようにと願っております。お祈り下さい。


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