「神によって立てられた権威」
(ローマ13:1-7)

カテゴリー 礼拝メッセージ要約(説教者による)

 パウロは、「すべての人は、上に立つ権威に従うべきである」と勧めています。キリスト者が国家に対してどのような態度を取るべきかを語っています。この箇所は、時代や地域によって、その受け取り方はさまざまでしょう。信仰者によっては、教会はキリストだけに従うべきであって、この世の権威に従う必要などない、と考える人もいるでしょう。
 パウロがこのように勧めている理由は、「神によらない権威はなく、おおよそ存在している権威は、すべて神によって立てられたもの」だからです。旧約のイスラエルの王たちとは違って、直接的には神によって立てられたわけではないとしても、神の許しのもとで立てられた権威であることをパウロは認めたのです。
 さらに、そのことを「彼は、あなたに益を与えるための神の僕なのである」と言います。もちろん、神を信じていない権力者たちは、そのようには考えていないでしょう。当時、地上の支配者たちは神の子孫と考えられていました。自分たちこそ神であると思っている王たちについて、「彼らは神ではない。神の僕だ」とパウロは語ったのです。民の益のために神が彼らを王として立てたというのです。神が立てた権威に従うことは、神に従うことを意味しました。
 ローマ帝国による迫害を受け、何度も投獄されていたパウロがこれを語っています。パウロは、ローマ総督ピラトの裁判を受けて十字架にかけられた主イエスの姿を見つめていたことでしょう。そこに神の大いなる支配があると信じて、上に立つ権威に服されたのです。
 「神などいない」と思えるこの世にあって、私たちはキリストの支配がこの世に及んでいることを信じて、歩みを続けたいと思います。