「真実を語る歩みを」
(出エジプト20:16)

カテゴリー 礼拝メッセージ要約(説教者による)

 第九戒は、「あなたは隣人について、偽証してはならない」と教えています。直接には、裁判の席で偽りの証言をすることの禁止です。そのようなことが横行すれば、健全な社会を築けなくなるからです。
 その上で、この戒めは隣人に関して偽りを語ることを禁じています。それは単に嘘をつくことだけでなく、陰口や悪口を言って他人を貶めるような行為を禁じるものです。私たちは普段の生活において、非公式の裁判を繰り返し行い、他の人を断罪しています。
 そのように、他者のことを悪く言おうとする心、それを密かな喜びとしてしまう心こそ問題です。その心の奥には、他人を悪く言って引き下げることによって、自分を高くしようとする思いが潜んでいます。シーソーのように、他人を引き下げることにより、カタンと自分のほうが上がるという非常に不健全な心理がそこにあります。そのような罪を持つ私たちにとり、十戒で禁じられたぐらいでは止めることはできません。
 しかし、私たちはもはやそのようにして生きる必要がなくなった者たちです。神が御子キリストによって、私たちを高く引き上げてくださったからです。どん底に落とされても仕方のない者たちのために、キリストが最も低いところへと降ってくださり、私たちを高く引き上げ、「あなたは価値がある」と告げてくださいました。だからこそ、私たちはもはや他人を引き下げることによって自分を高める必要はなくなりました。
 私たちは神に救われた者として、他人を引き下げるのではなく、他の人の徳を高める言葉を語る歩みを続けていきたいと思います。
(仙台南光沢教会牧師 佐藤信人)